「食事はいつもどおり食べているのに、背中や腰まわりが細くなってきた」「抱き上げたときに軽くなった気がする」と感じることはありませんか。
シニア期の犬や猫では、加齢に伴って筋肉量が減り、体つきが変化することがあります。しかし、食欲があるにもかかわらず体重が減っている場合は、糖尿病やホルモンの病気、消化器疾患などが隠れている可能性もあります。
「食べているから大丈夫」「年齢のせいだろう」と判断せず、体重減少が続くときは動物病院へ相談することが大切です。

■目次
1.シニア犬・猫の体重減少で確認したいこと
2.食欲があるのに痩せるときに考えられる病気
3.早めに受診したい変化と緊急性の高いサイン
4.動物病院ではどのような検査を行う?
5.ご家庭で記録したいこと
6.まとめ
シニア犬・猫の体重減少で確認したいこと
犬や猫の体重は、脂肪だけでなく筋肉量や体内の水分量によっても変化します。そのため、体重の数字だけではなく、体つきや日常の様子もあわせて確認しましょう。
特に、次のような変化がみられる場合は注意が必要です。
・背骨や腰骨、あばら骨が目立ってきた
・後ろ足や肩まわりの筋肉が細くなった
・食事量は変わらない、または増えているのに痩せる
・水を飲む量や尿の量が増えた
・嘔吐や下痢、便の状態の変化が続いている
・以前より疲れやすくなった
・毛づやが悪くなった
見た目では変化に気づきにくいこともあるため、定期的に体重を測り、過去の記録と比べることが早期発見につながります。
食欲があるのに痩せるときに考えられる病気
食べているのに体重が減少する背景には、摂取した栄養をうまく利用できない病気や、体内で必要以上にエネルギーが消費される病気などが考えられます。
<糖尿病>
糖尿病になると、血液中の糖をエネルギーとして十分に利用できず、食欲が保たれていても痩せることがあります。水をたくさん飲む、尿の量が増えるといった変化を伴うことも少なくありません。
<猫の甲状腺機能亢進症>
シニア猫にみられるホルモンの病気です。代謝が過剰に活発になるため、食欲が増えているのに体重が減ることがあります。落ち着きがなくなる、よく鳴く、嘔吐や下痢がみられるなど、体重減少以外の変化が表れる場合もあります。
<消化器や膵臓の病気>
慢性腸症や膵外分泌不全などにより、食事に含まれる栄養を十分に消化・吸収できなくなることがあります。便の量が増える、軟便や下痢が続くといった症状がみられる一方、目立った消化器症状が表れない場合もあります。
<腎臓病・肝臓病・腫瘍など>
腎臓や肝臓の病気、慢性的な炎症、腫瘍などでも体重が減少することがあります。初期には食欲が保たれているケースもあるため、元気そうに見えることだけで病気の有無を判断するのは困難です。
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早めに受診したい変化と緊急性の高いサイン
体重減少に加えて、多飲多尿、繰り返す嘔吐や下痢、血便などがみられる場合は、早めに動物病院へ相談しましょう。
一方、呼吸が苦しそう、ふらついて立てない、ぐったりして動けない、意識がもうろうとしているといった症状が表れている場合は、緊急性が高い可能性があります。早急に動物病院へ連絡し、受診してください。
また、シニアの犬・猫では複数の病気を同時に抱えている可能性もあります。以前の健康診断で異常がなかった場合でも、新たな体重減少に気づいたときは改めて状態を確認することが大切です。
動物病院ではどのような検査を行う?
体重減少の原因は多岐にわたるため、問診や身体検査の結果をもとに、必要な検査を組み合わせて評価します。
<身体検査>
体重に加えて、脂肪のつき方や筋肉量、脱水の有無、口腔内、甲状腺、リンパ節、腹部などを確認します。過去の体重記録があると、変化の時期や程度を把握しやすくなります。
<血液検査・尿検査・便検査>
血液検査では、血糖値、肝臓や腎臓の状態、貧血や炎症の有無などを確認します。必要に応じて、甲状腺ホルモンや膵臓の機能に関する項目も調べます。
尿検査では、尿糖や尿の濃さ、感染の可能性などを確認できます。下痢や便の変化を伴う場合には、便検査を行うこともあります。
<レントゲン検査・超音波検査>
レントゲン検査では胸部や腹部にある臓器の大きさ、形、位置などを確認します。超音波検査では、肝臓、腎臓、膵臓、胃腸などの内部構造をより詳しく観察できます。
<CT検査・内視鏡検査など>
基本的な検査だけでは原因を特定できない場合や、腫瘍、消化管の病変などが疑われる場合には、CT検査や内視鏡検査、組織検査などを検討します。
当院では、血液検査や尿検査をはじめ、レントゲン検査、超音波検査、CT検査、内視鏡検査など、原因を段階的に調べるための検査に院内で対応しています。すべての検査を一律に行うのではなく、犬や猫の年齢、症状、体への負担を踏まえ、飼い主様と相談しながら必要な検査をご提案します。
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ご家庭で記録したいこと
体重減少に気づいたら、食事の量や種類を自己判断で大きく変更する前に、次の内容を記録しておきましょう。
・体重と測定日
・1日に与えた食事のおおよその量
・食欲の変化
・飲水量や尿量
・嘔吐や下痢の有無
・便の色、硬さ、回数
・服用している薬やサプリメント
体重は、できるだけ同じ時間帯や条件で定期的に測ると、わずかな変化にも気づきやすくなります。また、食事量や排泄の状態なども記録しておくと、診察時に体重減少の原因を探る手がかりになります。
食事内容を見直したい場合も、まずは体重が減っている原因を確認することが大切です。
まとめ
シニア犬やシニア猫が食欲はあるのに痩せる場合、加齢による筋肉量の低下だけでなく、糖尿病、猫の甲状腺機能亢進症、消化器疾患などが隠れている可能性があります。
食欲や元気が保たれている段階では、体重の変化が病気に気づく手がかりのひとつになることがあります。
「年齢のせい」と様子を見続けず、体重減少が続くときや体つきが変わってきたときは、健康診断や受診の機会として動物病院へご相談ください。
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