犬や猫がシニア期を迎えると「そろそろシニア用フードに変えたほうがよいのかな」「以前より食べなくなった」と、食事について迷う場面が増えてきます。
年齢を重ねるにつれて、運動量や消化機能、必要なエネルギー量などは少しずつ変化します。ただし、変化の表れ方はそれぞれ異なるため、年齢だけでフードを決めるのではなく、体重や筋肉量、持病、食べ方なども確認することが大切です。
今回は、シニア犬・猫のフードの選び方や切り替え方、食べないときにご家庭でできる工夫について解説します。

■目次
1.犬や猫は何歳からシニア期に入る?
2.シニア犬・猫のフードを選ぶポイント
3.フードは急に変えず、少しずつ切り替える
4.シニア犬・猫がフードを食べないときの工夫
5.「年のせい」にせず動物病院へ相談したいサイン
6.まとめ
犬や猫は何歳からシニア期に入る?
犬や猫がシニア期に入る年齢には、明確な決まりがあるわけではありません。一般的に犬は7歳前後からシニア期とされることが多いものの、体格によって年齢の目安は異なり、大型犬では小型犬より早く加齢による変化が表れる傾向があります。猫も7歳前後から少しずつ体の変化を意識し始めるとよいでしょう。
なお、シニア期を迎えたからといって、すぐに食事を変更しなければならないわけではありません。今のフードで適正な体重と筋肉量を保ち、便の状態や食欲にも問題がなければ、そのまま続けられる場合もあります。
一方で、太りやすくなった、反対に体重や筋肉が減ってきた、硬いフードを食べづらそうにするなどの変化があれば、食事内容を見直すタイミングです。
シニア犬・猫のフードを選ぶポイント
シニア犬・猫のフードは「シニア用」という表示だけで選ばず、その子の体の状態に合っているかを確認しましょう。
<主食には総合栄養食を選ぶ>
毎日の主食には「総合栄養食」と表示されたフードを選びます。総合栄養食は、そのフードと水を適切に与えることで、犬や猫の成長段階に応じた栄養をとれるように作られています。
おやつや一般食、副食などは主食の代わりにはならないため、表示を確認してから与えましょう。
<体重と筋肉量に合わせる>
活動量が低下して太りやすくなった犬では、摂取カロリーの調整が必要になることがあります。低脂肪・低カロリーに調整されたものや、満腹感を保ちやすいように食物繊維を配合したものなどを検討しましょう。
一方、体重や筋肉量が減ってきたシニア犬・猫では、単に低カロリーのシニア用フードへ変更すると、必要なエネルギーやたんぱく質が不足する可能性があります。この場合は、少量でもエネルギーをとりやすく、消化しやすいたんぱく質を含むフードが適していることがあります。
適したカロリーや栄養バランスは、体格や活動量などによって異なります。定期的に体重を測るとともに、背骨や腰骨が目立っていないか、太ももが細くなっていないかを確認し、迷ったときは獣医師に相談しながら選びましょう。
<食べやすさを確認する>
歯や口の痛み、飲み込む力の変化などにより、硬いドライフードを食べにくくなることがあります。その場合は、小粒タイプを選ぶ、ぬるま湯でふやかす、ウェットフードを取り入れるなど、その子が食べやすい形に調整します。
ただし、口からフードをこぼす、片側だけで噛む、よだれが増えるといった様子がある場合は、歯周病などが隠れている可能性があるため、動物病院へご相談ください。
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<持病がある場合は獣医師に相談する>
腎臓病や心臓病、糖尿病、消化器疾患などがある犬や猫では、病気に応じた療法食が必要になることがあります。
自己判断で栄養素を制限したり療法食へ変更したりせず、獣医師の指示に沿って選びましょう。
フードは急に変えず、少しずつ切り替える
フードを急に変更すると、食べなくなったり、下痢や嘔吐が表れたりすることがあります。新しいフードへ切り替える際は、これまでのフードに少量ずつ混ぜながら、10日~2週間程度を目安に割合を増やしていきましょう。
ただし、胃腸が敏感な犬や猫では、更に時間をかけたほうがよい場合もあります。また、療法食への切り替えでは病気の状態によって進め方が異なるため、獣医師の指示を確認してください。
切り替えてからは、食べた量だけでなく、体重、便の状態、飲水量、活動量なども記録しておくと、フードが合っているかを判断しやすくなります。
シニア犬・猫がフードを食べないときの工夫
体調に大きな変化がなく、一時的に食欲が落ちている場合は、次のような工夫で食べやすくなることがあります。
・ぬるま湯でふやかし、香りを立たせる
・ウェットフードを人肌程度に温める
・1回量を減らし、食事の回数を増やす
・静かで落ち着ける場所に食器を置く
・首や足腰に負担がかからない高さへ食器を調整する
・開封後の保存方法を見直し、新鮮な状態で与える
温めたフードは、熱い部分がないか確認してから与えましょう。また、食べてほしいからといって、人の食べ物やおやつを多く加えると、栄養バランスが崩れたり、主食を食べなくなったりすることがあります。
持病がある場合は、トッピングが治療の妨げになる可能性もあるため、事前に獣医師へご相談ください。
無理に口へ押し込むと、食事そのものを嫌がったり、誤嚥につながったりするおそれがあるため、無理に食べさせないようにしましょう。
「年のせい」にせず動物病院へ相談したいサイン
食欲低下は加齢だけでなく、歯や口の痛み、腎臓病、消化器疾患、腫瘍、関節の痛みなど、さまざまな体調不良によって表れることがあります。
特に、次のような変化がみられる場合は、フードを次々に変更して様子を見るのではなく、動物病院へご相談ください。
・ほとんど食べない状態が続いている
・食欲低下とともに体重も減っている
・水を飲む量や尿量が変化した
・嘔吐や下痢がある
・元気がなく、寝ている時間が増えた
・食べたそうにするものの、口に入れると落とす
・よだれや口臭が増えた
・呼吸が苦しそう、ぐったりしている
特に猫は、食べない状態が続くと体調が更に悪化することがあります。食欲が戻らない場合や、普段と明らかに様子が違う場合は、受診を先延ばしにしないことが大切です。
まとめ
シニア犬・猫のフード選びでは、年齢だけで判断せず、体重や筋肉量、持病、口の状態、食べやすさなどを総合的に確認することが大切です。また、食べないときは温度や硬さ、食器の高さ、食事環境などを工夫すると、食欲につながる場合があります。
しかし、食欲低下や体重減少を「年のせい」と思っていたところ、病気が見つかるケースもあります。定期的に健康診断を受け、体重や体の状態を確認しておくと、わずかな変化にも気づきやすくなります。
当院では、シニア犬・猫の健康診断をはじめ、体調や持病に合わせた食事のご相談にも対応しています。「今のフードを続けてよいか迷う」「最近、食べる量が減った」など、気になることがございましたら、お気軽にご相談ください。
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