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【症例実績】生後6ヶ月のパグが避妊手術を実施|乳歯遺残の同時抜歯と術後の経過をご紹介

「避妊手術を受けさせたいけれど、麻酔が心配」
「入院中はどのように過ごすのだろう?」
「避妊手術はいつ頃受ければいいの?」

 

このような不安や疑問を抱えている飼い主様は少なくありません。

 

犬の避妊手術は比較的よく行われる手術ですが、実際にどのような検査を行い、どのような流れで進むのか分からず不安に感じる方もいらっしゃいます。

 

そこで今回は、生後6か月のパグの女の子が避妊手術を受けた症例をご紹介します。

 

術前検査から手術、入院中の様子、退院後の経過までを時系列でお伝えしますので、これから愛犬の避妊手術を検討されている飼い主様の参考になれば幸いです。

 

 

■目次

1.症例情報|今回ご紹介するワンちゃんについて
2.ご相談内容と術前検査|安全に手術を行うための準備
3.検査結果と治療方針|避妊手術と乳歯抜歯を同時に行った理由
4.手術当日の流れ|入院から手術終了まで
5.術後の様子と退院までの経過|1時間ごとの観察で見守った入院管理
6.犬の避妊手術について知っておきたいこと|適切な時期と術後の体重管理
7.まとめ

症例情報|今回ご紹介するワンちゃんについて

まずは今回の症例をご紹介します。

 

犬種:パグ
性別:メス
年齢:生後6か月
体重:3.8kg

 

パグは鼻が短い「短頭種」に分類される犬種です。そのため、麻酔をかける際には呼吸状態に十分配慮しながら管理を行う必要があります。

 

また、生後6か月頃は避妊手術を検討される飼い主様が多い時期でもあります。

 

当院でも、

 

「避妊手術はいつ受けるのがよいですか?」
「乳歯がまだ残っているようですが大丈夫でしょうか?」
「麻酔は安全に受けられますか?」

 

といったご相談をいただく機会が多くあります。

 

今回も避妊手術を希望されて来院されましたが、診察の結果、乳歯遺残も認められたため、手術計画について詳しくご説明したうえで治療方針を決定しました。

ご相談内容と術前検査|安全に手術を行うための準備

避妊手術では、まず現在の健康状態を把握するための診察と検査が重要になります。

 

身体検査では、軽度の鼻閉音を認めました。また、両耳には褐色の耳垢がみられました。

 

さらに口腔内を確認したところ、左右の上顎犬歯と右下顎犬歯に乳歯遺残を認めました。

 

乳歯遺残とは、本来抜けるはずの乳歯が永久歯と一緒に残ってしまう状態です。特に小型犬や短頭種では比較的よくみられることがあります。

 

手術に向けては、全身麻酔が安全に実施できるかを確認するため、以下の術前検査を行いました。

 

◆血液検査(CBC、生化学検査、電解質検査)

貧血の有無や肝臓・腎臓の機能、体内の電解質バランスなどを確認します

 

◆胸部レントゲン検査

心臓や肺の状態を評価し、麻酔管理に影響する異常がないかを調べます

 

検査の結果、大きな異常は認められませんでした。そのため、全身麻酔下で避妊手術を行うことが可能と判断しました。

 

手術前に知っておきたい麻酔のリスクと対策についてより詳しく知りたい方はこちら

検査結果と治療方針|避妊手術と乳歯抜歯を同時に行った理由

今回の症例では、避妊手術に加えて遺残していた乳歯3本の抜歯も同時に行う方針となりました。

 

乳歯が残ったままになると、永久歯との間に食べかすや歯垢がたまりやすくなります。その結果、若いうちから歯周病のリスクが高まったり、歯並びに影響が出たりする場合があります。

 

一方で、乳歯抜歯を後日に行う場合には、再び全身麻酔が必要になります。全身麻酔は現在では安全性が高くなっていますが、少なからず身体への負担を伴います。

 

そこで今回は、健康状態や年齢、術前検査の結果を総合的に判断し、卵巣子宮全摘出術と乳歯3本の抜歯を同じ麻酔下で実施することにしました。

 

1回の麻酔で必要な処置をまとめて行うことで、身体への負担軽減を目指しました

 

なお、当院ではそれぞれの犬の状態に合わせて治療方針を検討し、飼い主様とご相談しながら進めています。

手術当日の流れ|入院から手術終了まで

ここでは、実際の手術当日の流れをご紹介します。

 

【10:15 入院】

午前10時15分に入院しました。

 

入院後は体調の最終確認を行い、手術や麻酔の準備を進めました。

 

【14:49~15:29 避妊手術と乳歯抜歯を実施】

午後2時49分から手術を開始し、午後3時29分に終了しました。

 

実施した処置は以下の通りです。

 

・卵巣子宮全摘出術
・遺残乳歯3本の抜歯

 

手術時間は約40分でした。

 

避妊手術では手術そのものだけでなく、麻酔中の管理も重要です。
心拍数や呼吸状態、体温などを継続的に確認しながら、安全な麻酔管理に努めました。

 

【覚醒後の保温管理】

手術終了後は速やかに覚醒し、その後すぐに毛布や湯たんぽを用いて保温を行いました。

 

全身麻酔後は体温が低下しやすいため、術後管理において保温は欠かせません。

 

今回の症例では、術後の体温は37.1℃まで低下していましたが、保温管理によって38.4℃まで回復しました。

 

【16:00 飼い主様へ術後のご報告】

午後4時には飼い主様へお電話し、無事に手術が終了したことや現在の状態についてご報告しました。

 

【17:30 食事開始】

午後5時30分には食事を開始しました。

 

術後早期から食欲が確認できたことも、順調な回復を示す良いサインでした。

術後の様子と退院までの経過|1時間ごとの観察で見守った入院管理

手術後は夜間まで継続して経過観察を行いました。

 

術後の管理では、呼吸や体温などのバイタルサインだけでなく、行動の様子や食事摂取状況、排泄状況なども確認します。

 

当院では複数の動物看護師が交代で対応し、24時間体制で術後の状態を見守っております。今回の症例でも、夜間も1時間ごとに状態確認を実施しています。

 

当院で実施している24時間体制のケアについてより詳しく知りたい方はこちら

 

手術直後は元気そうに見えても、時間の経過とともに体調が変化する場合があります。そのため、術後の観察は非常に重要です。

 

幸い大きな異常は認められず、翌朝9時00分に退院となりました。

 

退院時には抗生剤と鎮痛薬を7日分処方しています。

 

その後も順調に回復し、術後10日で抜糸を実施しました。

 

体重は退院時の3.80kgから抜糸時には3.95kgとなっており、術後の経過も良好でした。

犬の避妊手術について知っておきたいこと|適切な時期と術後の体重管理

避妊手術は望まない妊娠を防ぐだけでなく、将来的な病気の予防につながる場合があります。

 

特に子宮蓄膿症の予防や、乳腺腫瘍の発生リスクの軽減が期待されています

 

避妊手術を検討する時期は犬種や体格によって異なりますが、生後6か月前後でご相談いただくケースが一般的です。

 

ただし、すべての犬に同じ時期が適しているわけではありません。そのため、健康状態や成長具合を確認しながら獣医師と相談することが大切です。

 

なお、避妊手術後はホルモンバランスの変化によって基礎代謝が低下し、体重が増えやすくなる傾向があります。

 

そのため、手術後は食事量や運動量を見直しながら体重管理を行う必要があります。

 

当院でも退院時や抜糸時に体重を確認し、愛犬に合わせた生活管理についてご説明しています

まとめ

今回は、生後6か月のパグが避妊手術と乳歯遺残の抜歯を同時に受けた症例をご紹介しました。

 

術前には血液検査や胸部レントゲン検査を行い、安全に麻酔を実施できるかを確認しています。そのうえで避妊手術と乳歯抜歯を同じ麻酔下で行い、身体への負担軽減を目指しました。

 

さらに、手術後は体温管理や1時間ごとの状態観察を継続しながら回復を見守り、翌朝には無事退院することができました。

 

避妊手術は手術だけで完結するものではありません。術前検査や麻酔管理、術後管理まで含めて行う大切な医療です。

 

事前に不安や疑問を解消しておくことで、飼い主様も安心して手術当日を迎えやすくなります。

 

なお、当院ではホームドクターとして日常の健康管理を行いながら、必要に応じてCTやMRIなどの高度医療機器も活用し、愛犬・愛猫の健康をサポートしております。避妊手術や乳歯遺残について気になることがございましたら、お気軽にご相談ください。

 

 

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