「最近、愛犬がよく吠えるようになった」「急に甘え方が強くなった」「愛猫が隠れて出てこない時間が増えた」など、日常の小さな変化に戸惑った経験はありませんか。
さらに、「下痢を繰り返している」「何度もトイレへ行く」「皮膚を舐め続けている」といった症状が見られると、「どこか悪いのでは」と不安になる飼い主様もいらっしゃるかと思います。
犬や猫のストレスサインは、年齢による変化や性格の特徴と思われやすく、気づきにくい傾向があります。そのため、「少し様子が違う気がする」と感じていても、そのまま過ごしてしまうケースは少なくありません。
一方で、犬や猫のストレスは単なる気持ちの問題ではなく、消化器・皮膚・泌尿器などの不調につながる場合があります。
特に、引っ越しや多頭飼育、留守番時間の変化、家族構成の変化など、日常生活の中にある出来事がきっかけになる場合もあります。
そこで今回は、犬と猫で異なるストレスサインの特徴や、ストレスによって表れる症状、おうちでできる環境づくりのポイントなどについて解説します。

■目次
1.犬はどんなことでストレスを感じるの?|犬のストレスサインと症状
2.猫はストレスを隠しやすい?|猫特有のストレスサインに注意
犬はどんなことでストレスを感じるの?|犬のストレスサインと症状
犬は、人との関わりや生活リズムの変化に影響を受けやすい動物です。そのため、日々の環境や過ごし方によって、不安や緊張が積み重なる場合があります。
たとえば、以下のような変化がストレスにつながるケースがあります。
<犬がストレスを感じやすい環境の例>
・長時間のお留守番
・散歩不足や運動不足
・大きな生活音
・来客
・生活リズムの乱れ
・引っ越しや家族構成の変化
・新しく犬や猫を迎えた環境の変化
また、犬がストレスを起こしている時に見られるサインは以下の通りです。
<犬で見られやすいストレスサイン>
・落ち着きがなくなる
・あくびが増える
・足先や体を舐め続ける
・急に甘え方が強くなる
・過剰に吠える
・家具などを噛み続ける
・食欲が低下する
このような変化は、「性格の問題」や「しつけ不足」と思われやすい一方で、不安や環境ストレスが背景にある場合もあります。
また、ストレスによって以下のような体調不良につながるケースもあります。
<ストレスによって表れることがある症状>
・下痢や嘔吐などの消化器症状
・皮膚の赤み
・脱毛
・舐め壊しによる皮膚炎
なお、犬では留守番などによるストレスがきっかけとなり、分離不安のような状態につながるケースもあります。留守番中だけ問題行動が増える場合には、生活環境の見直しが必要になることもあります。
猫はストレスを隠しやすい?|猫特有のストレスサインに注意
猫は、もともと環境の変化に敏感な動物です。一方で、不調やストレスを隠しやすい傾向もあります。
そのため、「少し元気がない」「前より姿を見せなくなった」と感じた段階で、すでに強いストレスを抱えている場合があります。
特に猫では、以下のように縄張り環境の変化が大きな負担になるケースがあります。
<猫がストレスを感じやすい環境の例>
・引っ越し
・模様替え
・多頭飼育
・新しい犬や猫を迎えた変化
・来客
・生活音の変化
猫のストレスサインは、以下のような変化として表れる場合があります。
<猫で見られやすいストレスサイン>
・隠れて出てこない
・食欲が落ちる
・毛づくろいが増える
・トイレ以外で排泄する
・攻撃的になる
・夜鳴きが増える
・以前より遊ばなくなる
特に注意したいのが、猫ではストレスが以下のような泌尿器症状につながるケースがある点です。
<猫で見られることがある泌尿器症状>
・何度もトイレへ行く
・少量ずつしか尿が出ない
・血尿が見られる
・排尿時に落ち着かない様子を見せる
これらの症状の背景に、特発性膀胱炎が隠れている場合があります。
なお、多頭飼育では、ストレスが原因となるトラブルも少なくありません。普段は仲良く見えていても、実際には片方の猫が我慢しながら過ごしているケースもあります。
そのため、「もともとの性格だから」と考えるのではなく、普段との小さな変化にも気づけるよう、日頃から様子をよく見てあげることが大切です。
ストレスが原因で起こることがある病気とは?
犬や猫のストレスは、一時的な行動の変化だけとは限りません。緊張や不安が続くことで、体調不良として症状が表れる場合があります。
特に、以下のような症状は、ストレスの影響が関係している場合があります。
<消化器症状>
ストレスによって、下痢や嘔吐、食欲不振などの症状が表れる場合があります。引っ越しや来客、生活リズムの変化などをきっかけに、お腹の不調につながるケースも見られます。
<皮膚症状>
不安や緊張が続くことで、体を舐め続けたり、かゆみや脱毛が表れたりする場合があります。特に、同じ場所を繰り返し舐めることで、皮膚炎につながるケースもあります。
吠える、毛を噛むといったストレス行動についてより詳しく知りたい方はこちら
<泌尿器症状>
頻尿や血尿、何度もトイレへ行くなどの症状が見られる場合があります。特に猫では、ストレスが膀胱炎などの泌尿器トラブルにつながるケースが知られています。
もちろん、これらの症状がすべてストレスだけで起こるわけではありません。消化器疾患や皮膚病、泌尿器疾患など、別の病気が隠れている可能性もあります。
そのため、「ストレスかもしれないから様子を見よう」と自己判断を続けるのではなく、“少し気になる段階”で動物病院に相談することが大切です。
犬と猫で異なる「安心できる環境づくり」のポイント
犬や猫のストレスを減らすためには、それぞれの習性に合った環境づくりが大切です。
同じ「ストレス対策」でも、犬と猫では安心できるポイントが異なるため、それぞれに合わせた工夫が必要になります。
<犬のおうち環境で意識したいこと>
犬は、人との関わりや生活リズムの影響を受けやすい動物です。そのため、毎日の散歩時間を安定させたり、安心して休める場所を作ったりすることで、不安の軽減につながる場合があります。
また、知育トイを使った遊びや、におい探しなど嗅覚を使う遊びを取り入れることで、気分転換やストレス発散につながるケースもあります。
さらに、長時間の留守番が続く場合には、テレビや音楽を活用したり、留守番前後にコミュニケーション時間を確保したりする工夫も大切です。
<猫のおうち環境で意識したいこと>
猫は環境変化に敏感なため、「安心して隠れられる場所」があるだけでも落ち着きやすくなる場合があります。
特に、高低差のあるスペースや静かに休める場所を確保することで、安心感につながるケースがあります。
また、猫ではトイレ環境もとても重要です。特に多頭飼育の場合、トイレの数が足りなかったり、ほかの猫との距離が近すぎたりすると、ストレスにつながることがあります。
そのため、一般的には「猫の数+1個」を目安にトイレを用意すると、縄張りトラブルやストレスの軽減につながるとされています。
さらに、食事場所や休憩スペースを分けてあげることで、それぞれの猫が安心して過ごしやすくなる場合もあります。
「これってストレス?」と迷ったときの受診の目安
犬や猫の行動の変化には、一時的なものもあります。ただし、同じ症状を繰り返したり、長く続いたりしている場合には注意が必要です。
前述したように、食欲低下や下痢、頻尿、皮膚トラブルなどが続くときは、何らかの病気が隠れている可能性も考えられます。
また、「最近よく隠れるようになった」「急に怒りっぽくなった」「留守番のあとに様子が変わる」といった変化が、体調不良のサインとして表れているケースも少なくありません。
こうした変化が見られる場合には、症状が出ている様子を動画で撮影しておいたり、引っ越しや家族構成の変化など、生活環境が変わった時期を記録しておいたりすると、診察時の参考になります。
犬や猫の診察時に活かせる撮影のコツについてより詳しく知りたい方はこちら
なお、当院では、犬や猫の不安や負担をできるだけ軽減できるよう配慮しながら診療を行っています。必要に応じて検査を実施し、身体面だけでなく生活環境も含めて総合的に確認したうえで、その子に合ったサポート方法を一緒に考えていきます。
まとめ
犬と猫では、ストレスサインの表れ方が異なるため、それぞれの習性に合わせて普段の様子を見守ることが大切です。
ストレスは、消化器・皮膚・泌尿器など、さまざまな不調につながる場合があります。そのため、「いつもと少し違うかもしれない」と感じた段階でご相談いただくことが、早期対応につながります。
また、定期的な健康診断によって、ストレスによる不調だけでなく、隠れた病気の早期発見につながる場合もあります。
なお、当院では犬や猫の体調だけでなく、生活環境や日常の変化も含めて総合的に確認しながら診療を行っています。気になる様子がありましたら、お気軽にご相談ください。
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